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小説・『出会うは別れの』・第六回

 憎しみと愛情は表裏一体だ、と、ぼくは思う。

 憎めなかった分、三崎さんは愛することをできなかったのか、いや、正しくは長野さんに愛してもらえなかったのか、それはかなりつらいことなのではないか。

 いずれにせよ、長野さんに関する話題はすっかり打ち切られて、それからぼくたちは、とりとめのない話――ペニスが二本あるサメがいるとか、韓国風かき氷であるパッピンスのおいしい店が大久保にあるとか、丸ノ内線の古い車両が今ブエノスアイレスを走っているらしいとか――を、話した。

 ビールを何杯飲んだかわからなくなったころには、ぼくはすっかり三崎さんに気をゆるしていた。

 と同時に、自分でも原因のよくわからない、かなしい気持ちに侵されていた。

 そのかなしい気持ちの原因を無理やり言葉に直せば、長野さんと三崎さんを想像の中で並べて立たせると、オーダーメイドのシャツとネクタイのようにお似合いで、そんなふたりが別れる結論に辿り着いたことは、やるせない、だった。

 長野さんを好きなぼくにとって、ふたりが別れることは好都合で、けれど、かなしくもあるのだった。

 ぼくがふたりの間を裂いたのだろうか、ぼくが長野さんに近づいたことで、ふたりは別れるのだろうか、と罪悪感が湧いた。

 酔っぱらっていたし、恋敵に会うということで緊張していたし、けれど実際に三崎さんに会ってその緊張はほどけるしで、ぼくは急速に疲れを感じていた。

 疲れは感情をコントロールしにくくする。

 とても見っともないことだが、ぼくはやきとり屋の真ん中で、三崎さんの前で、おもちゃを買ってもらえない子どものように泣き出したのだった。

 完全に酔っぱらって、ごめんなさい、ごめんなさい、と三崎さんに謝りながら、蛇口をひねったように涙をこぼしたのだった。

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